ゲームクリエイターの飯野賢治氏が亡くなった。
オレは彼の作ったゲームが大好きで、彼がいたから、ゲームクリエイターになりたいと思う、ゲームクリエイターの専門学校にまで行った。
だからといって実際にゲームクリエイターになれたわけでもないが、オレの青春や進路、夢というのは飯野賢治氏の影響がかなり大きいと言ってもいい。
正直なところ、友人が死んでも、そこまで悲しいと思えない人間なのだが、この飯野賢治氏の訃報を聞き、とても悲しくなり、落ち込んだ。
実家に帰れば本棚には飯野氏の自伝とも言える著書「ゲーム」が並んでいるし、セガサターンのゲーム「Dの食卓」「エネミーゼロ」「リアルサウンド 風のリグレット」、ドリームキャストのソフト「D2」なども大切に保管してある。
その中でも「リアルサウンド 風のリグレット」は今までやったゲームの中で、5本の指に入るお気に入りでもある。
15年前の発売当初「画面のないゲーム」として、かなり話題になったのでゲームがそれだ。
視覚が不自由な人でも遊べるゲーム、言ってみればラジオドラマの途中の分岐点を自分で選び、エンディングまで進めていくゲームなのだが、声優には菅野美穂や篠原涼子、脚本は東京ラブストーリーなどを手がける坂元裕二氏、エンディングテーマは矢野顕子という豪華な面々。
個人的には鈴木慶一氏が担当していた音楽が最高だった。(177の歌とかw)
CDなんてモノをほとんど買わないオレが、このゲームのサントラは買ってしまった。
晴れた夏の日に、この音楽を聴きながら、散歩でもして、夜になって台風なんて来たら最高な気分になる。
そしてこのシリーズの続編「リアルサウンド2 霧のオルゴール」という作品を制作しているという話があったり、300万本売れるRPGを作るという話もあった。
だが彼はゲーム業界からは少し離れ、この作品達は世に出ることはなかったが、彼ならいつかどこかで作品を発表してくれるのではないかと、出るはずもないゲームを15年経った今でも期待していた。
だけど、もう出ないゲームを待つことも出来なくなってしまった。
最近は学生の頃のようにゲームの発売日が待ち遠しかったり、ワクワクするような気持ちになることはまずないが、彼の作ったゲームが出るとなったら、今でもワクワクしてしまうし、発売日に絶対欲しいし、やるまでは死ねないと本気で思うだろう。
思えば、初めて幼馴染と本気で喧嘩したのも彼の作品「エネミーゼロ」が発端だった。
今では本当にいい笑い話で、酒のつまみとして一生使える最高の話だ。
高校生の頃、専攻した美術の時間に飯野氏の絵を描いたのもいい思い出w
周りからは変な目で見られていたかもしれないが、そのくらい好きだった。
彼に憧れ、彼を追って、オレと同じような青春を歩んで来たという人は少なくないだろう。
人生の中で、憧れる人なんてなかなか出会えるモノではない。
オレはそういう人を見つけられたことを幸せに思うし、たぶんこれからもオレに影響を与え続ける存在であり続けるんだと思う。
ご冥福をお祈りいたします。
本当にいいゲームをありがとう。